主婦→訪問介護ヘルパー私自身76歳の高齢者ですが、現在も訪問介護の仕事を続けて経験は約20年になります。
介護職を未経験50代で挑戦した主婦の体験談、きっかけは子育てが終わったこと
2000年に介護保険制度ができ、それに伴いヘルパーの資格と取得する講座があり人材を募集していたので、当時55歳だった私はなんとなく将来のために介護の勉強にもなるかな?と思って受けたのがきっかけです。ちょうど2人の娘も社会人になったころだったので、生きがいをもって働くことが出来る生涯最後の仕事を見つけたいという気持ちもありました。
それで当時は「ヘルパー2級」(現在の介護職員初任者研修に該当)と言われていた講座を受けることにしました。認知症についての講義や介護技術の実技はとても興味深く、講座終了と同時に資格も得ることができました。
仕事は資格を取った学校からのスカウトも多々あり、職探しには困らなかったのですが、主婦ということもあり地元で働きたい希望がありました。そこで近所に新しくオープンした訪問介護事業所でも求人があったので問い合わせてみると、すんなり採用していただけました。
訪問介護のヘルパーの仕事で不安だったこと
訪問介護の仕事はヘルパー1人での訪問になるので、全くの新人で素人同然の私が1人で介護をこなせるのかという不安はあり、そのような心配は面接のときにお話しさせてもらいました。
そうするとまずは体は比較的元気で医療ケアなどは必要のない利用者さんの家事援助から初めさせていただけることになり、登録ヘルパーとして、週3回、1日3件の仕事を受け持つことになりました。
私自身の不安に加え当時は始まったばかりの介護保険制度で、訪問介護も駆け出しだったため、私は全くの新人にもかからわらず、仕事のことを聞くことができるあまり先輩がいない状態も不安はありましたが、国全体での新しい試みでもありお手本がないのは仕方がないので、会社も私もとりあえずやってみなくては!という雰囲気でした。
訪問介護の仕事で大変だったことやトラブル
最初に受け持ったのは認知症の方が多く、当然利用者さんも初めての利用になるので、突然他人が家に上がってくるようになり混乱し、拒否されることも度々でした。
家に入れてもらえなかったり、訪問した時間にいなかったり、物取られ妄想が激しく、実際に警察に通報されてしまったことなどもあり、出だしは混沌としたものでした。
ただ3ヶ月くらい通ううちにだんだんと「お手伝いさん」のような感じで受け入れてもらえるようになり、綺麗に掃除をすると喜んでもらえたり、私も徐々にペースがつかめてきました。物取られ妄想の犯人になっていても、「まあそういうものだ」と思えるような図太さも備わってきました。
訪問介護の仕事は結婚後にパートでやってきたレジや検品の仕事以上のやりがいが
少し慣れてくるにつれ、身体介護も徐々に経験させていただくことになり入浴介助もありました。歩行が不安定な方の場合は私もTシャツやショートパンツをはいたまま一緒にお風呂に入って介護するのですが、とにかくビシャビシャになります。
冬はとても寒く、凍えたまま利用者さんの着替えを手伝い、終わったらそのまま次の訪問など、身体的につらい仕事もありました。ただそれまでに私が結婚後にパートで働いてきた、レジや検品などの仕事に比べて、直接的に誰かの役に立てている…という実感があり、やりがいも感じていました。
50歳過ぎで介護職にやりがいを感じ、60歳近くになっても仕事ができていることに満足
あっという間に1年2年と過ぎて毎日仕事を入れるようになり一通りの介護は自信もってできるようになったころ、それまでの登録ヘルパーから契約社員になりました。
正社員へのお誘いもあったのですが、すでに58歳になっていたので、あと何年く勤められるかわからなかったため、契約社員にさせていただきました。
訪問ヘルパーとしてだけではなく、新しく入るヘルパーさんの指導係をしたり、利用者さんやそのご家族との面談にも関わるようにまりました。
資格を取ったときには、週何日か仕事ができたらよいという気持ちでいたので、まさか契約社員になってフルで働くようになるとは夢のような話でした。仕事はいつも順調だったわけではありませんが、自分の仕事としてのやりがいを50歳過ぎてから見いだせて60歳近くなっても仕事ができていることに満足感も感じていました。
63歳で膝を手術、1年のリハビリを経て再度訪問介護の仕事に復帰
ただ63歳のときから膝を悪くしてしまい、一時は事務の方に回していただくほど悪化してしまったので、思い切って手術をすることにしました。そのときに年齢のこともあり契約社員としては退職し、また戻れたら登録へルパーとして仕事をさせてもらいたいという旨を伝えました。手術は成功しリハビリ期間を経て、約1年後にまた家事援助から訪問に入らせてもらうことになりました。
そしてその後約10年経つ現在でも、週1~2回ではありますが、訪問介護の仕事をしています。さすがに今は掃除や食事介助のみになっていますが、自分が介護を受けてもおかしくないような年齢になって仕事ができていることに感謝しています。
介護職は50代から始めても仕事ができ、70代でも続けられる一生涯の仕事
約20年前に資格を取ったときにはまさかこんなに長く介護の仕事に携わることになるとは思っていませんでした。ただ子育てを終えたのちの生きがいになっていて、その後契約社員にもなり、一時期足の手術で離脱をしてからもまた復帰ができるなど、仕事が人生の後半の生活を豊かなものにしてくれたことは確かです。
50代から始めても本格的な仕事が出来て、70代でも続けられる仕事というのはほかにはあまりないような気がします。そのため、介護の仕事に飛びこもうか悩んでいる方には「始める年齢は関係なく一生涯の仕事になるよ」と、自分の経験から伝えたいです。