男性介護士の将来性、年収って実際どう?家族を養える?20代後半で介護職に転職した現役介護福祉士のリアル体験談

男性介護士のイメージ

接客販売職から介護職に転職した子持ち男性体験談
K.Yさん
(37歳/男性)

接客販売職→介護職(介護老人保健施設)私は37歳男性で、現在100床規模の介護老人保健施設の介護福祉士として働いております。現職の前は量販店でスポーツ用品を接客販売する仕事を3年ほど勤めておりましたが、退職して近隣の介護福祉士養成短大(職業訓練校)にて2年間通い、介護福祉士の資格を取得してから現施設へ働き始めました。今年の4月で8年目を迎えたところです。

【男性介護士の体験談】私が異業種から未経験で介護職に転職した理由とは?

初めまして。

私は37歳男性で、現在100床規模の介護老人保健施設の介護福祉士として働いております。現職の前は量販店でスポーツ用品を接客販売する仕事を3年ほど勤めておりましたが、退職して近隣の介護福祉士養成短大にて2年間通い、介護福祉士の資格を取得してから現施設へ働き始めました。今年の4月で8年目を迎えたところです。

私の周囲では、母親や友人など介護の仕事に就いている人が多く、日常的に介護の仕事について知ることができたという環境がありました。介護をしている友人が「介護の仕事は親戚のおばあちゃんの家に遊びに行くような感覚だ」と話していたことが自分の中でとても印象的で、まだ未経験だった頃の私はシンプルに「楽しそう」と思いました。

当時は毎日販売ノルマに追われ、朝礼時に上司から販売成績の悪さを叱責されたり等も日常茶飯事でした。この叱責の元で販売員として成長していこうという気持ちが持てなくなった私は転職を考えていたのですが、先の友人の言葉に少なからず希望を見出し、結果販売員としての自分と決別して介護の仕事へ飛び込んでみることにしました。

介護士で「男性」という部分が最初は不安だった

どんな仕事にも初めは不安はあるとは思いますが、介護はとにかく『女性社会』なので、男性職員はどの程度の割合なのか。長らく『男性社会』で生きてきた私にとってはそこは一種の不安要素でもありました。

ですが、勤め始めてしばらくすると不思議なことに全く気にならなくなります。早番勤務で、帰ることになって初めて思うことが「あれ?今日職場で男自分一人だけだ」──慣れてくると、その程度の関心度になってきます。

男性の介護士のニーズは意外と高い!男は採用されないというのは嘘

男性介護士がシニア女性を介護している様子
介護職に携わる前は、やはり女性の割合が多い介護職の中で男性のニーズはあるのか、男だと採用されないんじゃないか、など色々心配したことを覚えています。

介護士として働いてみて思うことなのですが、実際そんなことはなく、介護の職場で男性介護士のニーズは多いです。入居者の方でも、男性の同性から介護してもらいたいというニーズもあるので、むしろ男性職員の少ない介護施設では、女性よりも男性職員のニーズが高いという所もしばしば聞きます。

もし、現時点で、「男だけど介護職は勤まるか…」と不安に思っているのであれば、あまり心配しなくても大丈夫かなと経験的にそう感じます。

男性介護士の将来性、年収は?家族は養える?

介護士の年収、給料、将来性
男性で、これから未経験で異業種から介護職への転職を検討されている方であれば、男性介護士の将来性はどうなのか?年収は実際どれくらいもらえるのか?介護士で家族は養えるのか?という部分が一番気になる点かと思います。

実際、私も妻と2人の息子の4人家族ですので、一家を支える大黒柱として、介護士としての将来性や年収等の稼ぎ、本当に介護職で家族を養えるのか不安でした。ただ、調べていくと、しっかり経験を積んだり、資格を取ったりすれば問題なさそうだという結論になりました。

パート、正社員を問わず、介護士には処遇改善手当というものが給与に加算されるので、月に1~2万ほど給料に上乗せされます。処遇改善手当は、国が介護士の待遇を良くしようという政策ですので、毎年増加傾向にあり、また、高齢者の介護も今後はますます必要性が増していくので、介護士の将来性としては明るいのかなと感じています。

ただ、介護士は経験年数と資格で年収(月収)が決まってくるので、未経験無資格で現場に入ると、最初は月18万前後のスタートになるかと思います。夜勤に入ったとしても、23万前後で、ボーナスも初年度は年間40万ほとなので、無資格未経験だと初年度の年収は250万ほどというのが現実的な所です(もちろん施設によりますが、高くても300万ほど)。

ただ、私のように介護福祉士養成短大(職業訓練校)に最初から通って、介護福祉士の資格を取ってから入職した場合、介護福祉士の手当が結構高いので、介護福祉士で月収30万の待遇(住宅手当・配偶者手当・扶養手当・資格手当・夜勤手当・交通費含む)というのは当たり前な水準です。

年間でいうとボーナスが90万ほどなので、私の老健施設では、私の条件でいうと年収ベースで450万ほどになるので、一家を養うのには十分かなと考えています。無資格未経験からでも最短で4年目から介護福祉士になれますが、家族4人を男1人で250万の年収(無資格未経験)で養うのは、共働きじゃないと厳しいかなと感じます。

これから未経験無資格で介護職に入職して、一家を養うということであれば、奥さんの家計の支え(共働き)が必須だと思います。

老健・特養が介護施設の中では給料が高い

家庭を支える必要があるので、少しでも給与水準が高い介護施設を選びたいということであれば、老健か特養を検討された方がいいです。

老健・特養は無資格、未経験でも就職できますし、医療法人や福祉法人が運営しているので、経営母体がしっかりしており、職員数も多く、新人への研修・教育制度がしっかりしている所がほとんどです。体力的に、最初は大変かもしれませんが、仕事を覚えていくうちに慣れるものです。

デイサービスや訪問介護、グループホーム、病院での看護助手、有料老人ホーム等、就職先としての介護施設の種類は数多いですが、これらの施設の賞与が平均2か月ほどというのに対して、老健・特養は3~5か月と高いです。

病院での看護助手も、ボーナスは多めですが、処遇改善手当がつかない病院が多いので、年収ベースで考えるなら、やはり老健・特養の方が高いかなと感じます。

介護福祉士養成短大(職業訓練校)での実習内容とは?大変だったことは「おむつ交換」

冒頭でも軽く触れましたが、私は20代後半に介護福祉士養成短大(職業訓練校)へ2年間通っていました。介護の職業訓練校では必ず2週間の施設実習というものがあるのですが、この実習で最大に私の頭を悩ませたのが『おむつ交換』でした。

実習担当の職員が模範例を見せ、実習生が挑戦するという進行だったのですが、知識がほとんど無い状態でおむつ交換をやるとまず必ず〝体力勝負〟になってしまうので、とにかく時間が掛かってしまいます。入居者一人おむつ交換するのに余裕で10分以上かかってしまいます。

更に、対象者が水様便(下痢便のようなもの)であった場合、おむつ交換の最中にベッドシーツを便で広範囲に汚してしまい、実習担当職員の方に怒られてしまうといったこともありました。

このような経験もあり、おむつ交換には極度の不安を抱えていました。自分にはおむつ交換などできるのだろうか──それから早7年、おむつ交換は全くストレス無くこなせるようになりました。

綺麗に、効率良く、且つスピーディなおむつ交換をするにはコツがあります。それさえ押えれば誰でも綺麗なおむつ交換が必ずできるようになります。能力とは、不安を解消できた時に生まれる。あの時抱いていた不安は、現在の私にとってはとても貴重な財産になっています。

就職先としての介護施設の選び方|ハローワークの求人はオススメしない

学生であったこともあり、学校の進路指導課には介護学生を対象とした市内全域の求人が来ていたので、私はそこを通して応募し、現在の介護老人保健施設より採用通知をいただきました。

学生としてのメリットは、何と言っても『実習』ができることにつきます。ハローワークからの求人応募だと、採用が決まったら勤めるしかありません。その施設の情報などが分からないと、入社してからブラック企業であることに気づかされたりする場合もあります。

しかし、それが実習であるならば、実習期間内にその施設の雰囲気や、職員同士の人間関係、仕事量の多さなど、「自分に合っているのか?」をゆっくり知ることができます。更に、違う施設に実習へ行っている他学生と普段の会話で情報共有できます。運が良ければ、実習先から「学校卒業したらうちへおいで」と声を掛けていただけることもあります。

介護の職場では子育ての両立がしやすい雰囲気、前職との違いとは?

私は全部で4施設実習へ行きましたが、現在勤めている施設はその中で一番雰囲気が良かった施設です。笑顔で挨拶ができる職員が一定数いる施設は、概ね人間関係は良いかと個人的には思っています。

現在の職場では、人間関係はとても良好です。「子供が熱を出した」と電話すればその日臨時で休みをもらうことができ、それに対して不平不満をこぼす職員は誰一人いません。

今の施設に勤めて一番驚いたのは、勤務時間が終了したら「早く帰っていいよ」と職員全員が口にすることです。

私が以前勤めていた職場は、個人ノルマが達成できなかったら勤務時間が終了しても帰りづらかったりというか、そういう雰囲気が充満していたのですが、現在の職場は勤務時間内に業務が終了しなかったら「明日やればいい。残ってやる必要はない」と言ってくれます。その言葉にはとても救われた記憶があります。

現在私は介護副リーダーに就いていますが、施設としてこういった文化はこれからも率先して大切にしていこうと思っています。

介護老人保健施設(老健)はどんな場所?

介護老人保健施設は、いわゆる『中間施設』と称されることがあります。

「病院に入院中医師より退院許可が下りたが、いきなり在宅復帰は現実的に厳しい。」

「自宅で看ることが難しくなってきたが、いきなり施設入所となると勝手が分からないので不安。」

「2週間とかお試し入所はできないか?」

或いは、自宅で何らかの生活上トラブルが発生し、その方を保護する名目での入所──などの理由で来られる方が多いのが、介護老人保健施設という所です。

老健と特養の違いとは?

特養のような終の棲家ではなく〝中間施設〟なので、入所した入居者は必ず退所する日が来ます。それは我々介護士目線で言えば、入居者20人ユニットでも、3ヶ月後にはその顔ぶれがほとんど変わるといったこともあり得るということです。

おむつ対応型だったものが、3ヶ月後にはトイレ誘導型になってしまったというのも普通に起こり得るので、状況を見て対応をしていかなければなりません。

ただ、そうなってくると他職員と「どうすれば効率良く対応できるか?」という意見交換を頻繁にすることになるので、コミュニケーションのきっかけになり、それが職員同士の仲を深めることにもつながっているように思います。

この点は恐らく、どの介護老人保健施設でも展開されているかと思います。いろんな人と関わるのが好きな方や、「こうしたい!」という自分の意見を率先して言えたりできる方には介護老人保健施設は天職ではないかと思います。

最後に、介護の求人票には〝経験者求む〟と表記されていることが多いですが、介護は誰しもが未経験から始まっています。経験があるからといってその施設での仕事が自分に向いているとも限りません。

経験がないからというよりも、〝これから経験者になる〟という意気込みでいると良いかもしれません。その施設で3ヶ月過ごす事ができれば、あなたはもう〝経験者〟です。

介護福祉士の資格を職業訓練(ハローワーク)で取得するのがおすすめ※失業保険給付中であれば

介護福祉士の資格イメージ
全くの未経験から介護現場へ飛び込むのに不安を感じている方がおりましたら、一度職安(ハローワーク)を訪ねてみるのもよいかもしれません。

失業者を対象とした、いわゆる『職業訓練』というものがあります。失業保険の給付を受けながら学校へ通い、資格を取得するという道もあります。

通常の給付期間は3ヶ月程度ですが、これは養成校のスクーリング期間に応じて延長されます。例えば、養成校に2年通わなければならないのだとしたら、給付期間も2年間へ延長されます。

このような措置もあるので、当面の生活資金への心配もなく、安定した精神状態で勉強に集中できるので、中途採用から介護への転職を考えている方にはオススメの進路でもあります。

先にも述べましたが、学生になると実習も受けられるので、噂が本当なのか、自分に合っている施設なのかどうか──そういったことも自分の目でしっかり確認できる利点もあります。

職業訓練校で介護福祉士のコースを取る前の注意点

失業保険給付期間中であれば、職業訓練下での介護福祉士のコースは無料で受講でき、テキスト代などは全部で10万近くかかりますが、交通費も支給されるので、お金(給付金+交通費)をもらいながら資格が取れるので、かなり良い制度だと感じます。

ただ、私の場合、妻が正社員として働いているので、資格取得中は、家計的にかなり助けられました。

失業保険給付期間は通常3ヶ月程度(自己都合退職の場合)ですが、失業保険給付期間中に介護福祉士のコースの受講を始めた場合、2年間のコース期間中は、失業保険給付が延長されてコース修了時まで支給されます。

ただ、給付額が退職前にもらっていた月給の50~80%しか支給されないので、私の場合月給30万(前職)でしたが、月給16.5万円ほどの支給額しかありませんでした。年収ベースでも190万ほどなので、家族を養うという視点では厳しいです。

もし家計的に厳しいということであれば、働きながら介護福祉士の資格を取得した方がおすすめです。介護の実務経験が3年あれば、養成校に通わなくても介護福祉士の受講資格はもらえるので、食べ盛りのお子さんがいらっしゃるのであれば、「働きながら介護福祉士の資格を取る」というキャリアの方が、良いのかなと感じます。

また、介護福祉士のコースは2年間と長期に渡るので、途中でコースをドロップアウトすると、経歴的に傷がついてしまいます。介護職に強い志が無い限りはコースの受講はオススメしません。少しでも介護の仕事に不安がある方は、まずは介護施設の見学をして、働きながら様子を見てみる方が無難かなと個人的には考えています。

私の体験談が、皆様のお役に少しでも立つことができたら幸いに存じます。

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